次なる100年に向けて、信託の力を活用してサステナブルな社会作りに最大限努めてまいります

2022年は世界各地でこれまでに経験のない自然災害が発生すると同時に、長期化するウクライナ危機により、欧州を中心にエネルギー不足問題が深刻化しました。気候変動問題の取り組みに際して、化石燃料から再生エネルギーへのトランジションを着実に進めていくことの重要さが明確になりました。

当グループにおいても気候変動対応を優先的に対応する重要課題と認識し、様々なステークホルダーとの連携を強め、この問題に正面から向き合ってきました。

一方、金融システムに目を向けますと、欧米の中央銀行が金融引き締めに転換し、世界的に長く続いた金融緩和から新たな局面に移行する動きがはじまりました。流動性リスクにより短期間で金融機関が破綻するケースも発生するなど、金融システム不安も顕在化しました。SNS時代の情報伝達のスピードの速さを考慮すると、短期間で起こりうる様々なリスクを認識の上、環境・社会課題に対して長期的展望で着実に取り組んでいく必要があります。

このような環境認識のもと、当グループは経営健全性の確保と適切なリスクテイクの両立を図ると共に、個人・家計や投資家の資金を好循環させる仕組みを提供することを通じて、環境・社会課題の解決を図っていきます。2022年度はこれまでの取組を振り返り、複雑化するサステナビリティ課題の解決に向けて必要となる基盤整備に注力しました。

具体的には、取締役会で審議を重ね、マテリアリティ(当グループの価値創造プロセスに影響を与える重大な事象)の見直しを行いました。マテリアリティと当グループの重点戦略との関係を明確にし、定量指標を設定することで、ステークホルダーの皆さまに当グループの取組状況の理解を深めていただくと共に、環境・社会課題の解決に最大限努めてまいります。

あわせて、当グループの事業活動が人権に及ぼすリスクについて取締役会で審議を重ね、当グループの人権方針の見直しを行いました。お客さま、サプライヤーの皆さまと協力関係を構築し、人権が尊重され、持続可能な社会の実現に向けて取り組んでまいります。

また、お客さま、社会の価値創造実現に向けて、当グループの多様な人材が十分に専門性や、能力を発揮することが大切と考えています。社員は価値創造の源泉となる重要な資本(人的資本)であり、社員一人ひとりの心身の健康を保ち、人材育成投資の拡充を図ります。多様な人材が持ち味を発揮できる環境作りを進めることで、社員一人ひとりのWell-being向上を図り、ひいてはお客さま、社会のWell-being向上につなげてまいります。

当レポートでは、当グループの環境・社会課題の解決に向けた様々な取組を紹介しています。三井住友信託銀行では、企業のお客さま向けに、インパクト創出につながるファイナンスや、エクィティ投資について積極的に取り組んでいます。また、サーベイを起点にお客さまとの対話を深め、サステナビリティ経営のサポートに向けて様々なコンサルティングを推進しています。個人のお客さまには、人生100年時代のファイナンシャルウェルビーイング実現をサポートしてまいります。資産運用を担う三井住友トラスト・アセットマネジメント、日興アセットマネジメントは、サステナブルな社会の実現に向けて独自のエンゲージメント活動の取組を進めます。こうした取組について継続的に改善を図るとともに、新商品・サービスの開発・導入も着実に進めていきます。

2022年は信託法・信託業法制定から100年、節目の年を迎えました。三井住友トラスト・グループは創業来、高い専門性のもと、資金・資産の運用管理を通じてお客さまの期待に応えてきました。次なる100年に向けて、信託の力を活用してサステナブルな社会作りに最大限努めてまいります。

引き続き、温かいご支援を賜りますよう、心よりお願い申し上げます。

2023年6月

取締役執行役社長 高倉 透

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