信託とは?

信託とは、ある人(委託者)が信託契約や遺言によって、信頼できる人(受託者)に対して自身が持っている金銭や土地といった財産を名義ごと移転し、受託者が委託者の設定した目的(信託目的)に従って委託者の指定する人(受益者)のためにその財産(信託財産)の管理・処分その他必要な行為をすることをいい、「信じて託す」の文字どおり、受託者との間の高度な信頼関係に基づく制度です。なお、我が国においては、「信託法」という法律によって信託制度の一般的な規定が定められています。

信託を利用することで、受託者の持つ専門性を活かした資産運用や財産の安全・確実な保全などを実現することができます。また、受益者が持つ権利(受益権)は分割可能で流通性があるため、今日では資産流動化のヴィークルとしても盛んに利用されています。

信託の考え方の起源は古代エジプトや古代ローマにまで遡るといわれますが、現在の信託制度は中世のイギリスに始まり、我が国には明治時代に輸入されました。それから100年余り、信託はまさに生き物のごとくその時代の要請に柔軟に応えてさまざまな商品やサービスを生み出し、近年では金融だけでなく広範な分野でその機能が活かされています。

信託の仕組み

信託機能を活かした社会・環境への取り組み

信託機能を活用した社会貢献(公益信託の例)

公益信託とは、個人が公益(社会的な利益)目的のために財産を提供しようという場合や、法人が利益の一部を社会に還元しようという場合などに、信託銀行に財産を信託し、信託銀行があらかじめ定められた公益目的にしたがって財産を管理・運営することにより目的の実現を図る制度です。

公益信託は、奨学金の支給、自然科学・人文科学研究への助成、社会福祉、動物の保護、都市環境整備・自然環境保護活動への助成、更には国際協力・国際交流促進など、幅広い分野で活用されています。

信託機能を活用した自然保護(遺言信託の例)

遺言信託とは、遺言者の財産を信託銀行に委託し、その財産の管理・運用を任せる制度ですが、近年ではご自身の遺産を「世の中のために役立てたい」とお考えになる方が増えてきています。信託銀行では、このような社会貢献マネーを自然環境の保護に取り組む各種団体につなげるための役割も担っています。

信託機能を活用した環境問題への取り組み(排出権信託受益権の例)

地球温暖化への関心が高まるなか、積極的に環境保護対策を実施する企業が増えています。排出権取引は大口の取引が主流ですが、信託の仕組みを用いて「信託受益権」という小口の商品に転換することで、より多くの企業に活用いただけるようになり、ひいては温室ガス削減効果に貢献しています。

信託銀行とは?

信託銀行は、預金・貸出・為替といった「銀行業務」では、都市銀行や地方銀行と同じことをしています。普通の銀行と違うのは、この銀行業務に加えてお客様の「信託」を受けた業務ができるという点です。

これは、お客様の財産(金銭・有価証券・不動産など)をお預かりして、運用・管理する業務のことをいいます。法人のお客様からは、企業年金の運用を任されることもあります。つまり、信託銀行は「銀行」と「信託」という幅広い業務を行うことで、お客様の大切な財産を守っているのです。

信託業務 併営業務 銀行業務
年金信託業務
証券信託業務
(投資信託受託)
資産流動化業務
(金銭債権、不動産など)
など
不動産関連業務
(売買仲介、鑑定など)
証券代行業務
(株主名簿管理など)
相続関連業務
(遺言執行、遺産整理など)
など
預金業務
貸出業務
為替業務
付属業務
(有価証券の売買、デリバティブ取引など)
など

信託銀行が提供する主な商品・サービス

投資信託

投資信託とは個人投資家などから集めた資金をまとめて、専門家(委託者)が投資家に代わって有価証券や不動産などに運用し、その運用成果を投資家(=受益者)に分配する信託です。信託銀行は受託者として、投資信託財産の管理を行っています。

遺言信託・遺産整理、相続コンサルティング

遺言書作成の相談から遺言書の保管、財産に関する遺言の執行を行う遺言信託業務に加え、相続財産目録の作成や遺産分割手続きなどの遺産整理業務も行っています。

年金事業

厚生年金基金制度、確定給付企業年金制度、確定拠出年金制度などに基づき、年金制度の設計から、年金資産の管理・運用のほか、年金数理計算、加入者・受給者の管理、給付金の支払いまで、総合的なサービスを提供しています。

財産形成信託

勤労者の計画的な財産形成を促進し、その生活の安定を図ることを目的とした「勤労者財産形成促進制度」に基づき、財産形成信託、財産形成年金信託、財産形成住宅信託などを取り扱っています。

資産の流動化

金融機関が保有する住宅ローンなどの金銭債権や、企業が保有する不動産などの特定の資産を保有者である企業から分離し、その資産価値やキャッシュフローを原資とする金融商品を組成することで、投資家に様々な投資機会を提供するとともに、企業の資金調達や財務体質の改善をサポートしています。

証券代行業務

株式発行会社の株主名簿管理人として、株主名簿管理・配当金計算・単元未満株の買取・株主総会関係書類の封入作業に加え、法制度改正への対応などの株式実務に関するコンサルティングを実施するとともに、IRコンサルティング、買収防衛コンサルティングなどのサービスを提供しています。

不動産業務

信託銀行は不動産の仲介や分譲のほか、企業が保有する不動産の有効活用のためのコンサルティング、不動産の管理などに加え、不動産の鑑定評価も行っています。

信託銀行の財務面についてご紹介します。

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